香川真司にゴールは求められていない 今、何をするべきか?

 香川真司にゴールは求められるのか。前回のコラムでは、アフリカ選手権開催に伴うFWピエール・エメリク=オバメヤンの“不在”を取り上げた。


 前半戦にゴールを量産したチームの得点源を欠くことで「香川、ゲッツェ、カストロ…前半戦は沈黙したMF陣に一層の活躍とゴールが求められる」と書いておきながら、大変恐縮なのだが、よくよく考えてみると、香川を始めMF陣がオバメヤンに代わる得点源となる必要はないのかもしれない。


 12月の試合で毎試合のように失点を重ねたボルシア・ドルトムントが、後半戦に突入するに当たって、ウインターブレイク中に改善されるべきは守備の安定であることは言うまでもない。12月はオバメヤンが5試合4ゴールと気を吐いて、ドルトムントは1敗もしていないが、5試合中4試合と引き分けも多く、失点さえしなければ勝ち切れたゲームも多かった。


 前半戦を欧州チャンピオンズリーグ出場圏内の4位で終えたアイントラハト・フランクフルトの失点数12が、首位バイエルン・ミュンヘンの失点数9に次いで2番目に少ないように、リーグ戦では、やはり守備の安定しているチームが流れに乗っていくものだ。なお、2位のRBライプツィヒの失点数15は3番目に少なく、3位ヘルタ・ベルリンの失点数は5番目に少ない。


 そうした傾向を踏まえても、冬季合宿中にドルトムントが取り組むべきは、まずは守備組織を整えることだ。“不在”を穴埋めするために、多彩な攻撃バリエーションを構築することではないだろう。守備の改善が手付かずのまま、攻撃が上手くいったとしても、それでは前半戦の二の舞だ。もちろん合宿中に守備と攻撃の両方に取り組めれば言うことはないが、スペインでの合宿は9日間。決して長くはない。二兎を追う者は一兎も得ず。手堅い守備とカウンターに比重を置くボルシア・ドルトムントの原点に、ここは一旦立ち戻るべきなのではないだろうか。


 よって香川に求められることも、まずはしっかりとした守備から、カウンター時に素早く正確にボールを繋ぐ“リンクマン”としての役目ということになる。ロイス、デンベレ、モル、プリシッチ、シュアレ…といったスピード系の選手をどう活かすかに徹するのだ。ひとまずゴールは二の次で、まずはアシスト数の増加を目指す。そうした方が負傷した右足首への負担も少ないだろう。そうやって香川も流れに乗っていくのだ。そこにゴールを上乗せしていく。二兎を追う者は一兎も得ず。どちらかと言うとチーム・パフォーマンスに影響され易い選手。ドルトムントが軌道に乗れば、次第に香川も輝いていくはずだ。


 文・大友壮一郎

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