混乱期”に終止符を打ったズラタン・イブラヒモビッチ マンUの最前線に君臨した16/17シーズン

13年に“サー”が勇退してから、撤退戦を強いられてきたマンチェスター・ユナイテッド。アレックス・ファーガソンという絶対君主が去った後の混乱は、しかし、ここに来てようやく落ち着きつつあるようだ。


16/17シーズンはジョゼ・モウリーニョが監督に就任。早速ユベントスから新加入のポグバを中軸に据えると、マタ、フェライニといった混乱期の功労者たちを並べつつ、さらにルーニー、バレンシアら“ファギー組”の力を加えている。 


こうして“スペシャル・ワン”が構築したバランスの取れたチームは、リーグ戦を6位でフィニッシュ。リーグ杯、ELなどカップ戦のタイトルも獲得した。そして来季はCLに参戦。反撃の時を迎えようとしている。


しかし、このポスト・ファーガソン最後のシーズンで最大の立役者は、なんと言ってもズラタン・イブラヒモビッチだろう。元スウェーデン代表は、昨年の夏に移籍金ゼロの1年契約で加入。決して三顧の礼で迎えられたわけではない。それでも開幕から最前線で絶対的存在として君臨した。公式戦46試合に出場して28ゴール10アシスト。打点の高いヘディング、豪快なミドル…その名に違わぬパフォーマンスを見せつけた。


そんな猛者も衰えは隠せない。4月20日に行われたELのアンデルレヒト戦で右膝の十字靭帯を損傷し、イブラの16/17シーズンは終わった。そして6月末の時点で契約延長のオファーはない。


35歳のセンターFWが、来季も赤いユニフォームに袖を通している可能性は低い。それでもユナイテッドのファンたちは、低迷に終止符を打った助っ人として、ズラタンの名を語り継いでいくのではないだろうか。


文・本田千尋

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