クラブの象徴が退団した。7月9日、エバートンはウェイン・ルーニーの獲得を発表。31歳の“怪童”は、およそ13年もの時を過ごしたマンチェスター・ユナイテッドに別れを告げた。ジョゼ・モウリーニョ政権下では、負傷も度重なり、終ぞレギュラー・ポジションを確保できなかったルーニー。FWとして衰えを隠し切れず、キャリアの晩年を迎えたとも囁かれた。
しかし、マンUでの13年間を振り返れば、まばゆい栄光に満ちている。5度のプレミアリーグ優勝を手始めに、FA杯、リーグ杯と、国内の主要タイトルは全て制覇。チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグと欧州のタイトルも獲得し、さらに09年にはクラブW杯も制している。チームが良い時も悪い時も、センターFWで、トップ下で、攻撃陣を牽引してきた。その姿はまさに“10番”に相応しい。真紅のユニフォームを愛する者であれば、古巣に帰還するルーニーを、暖かく送り出すことだろう。
そして新シーズン、“10番”は誰が受け継ぐことになるのだろうか。タイトルを総ナメにしたルーニーが背負ってきた時代を振り返れば、新しくクラブの象徴となるべき選手に相応しい。中盤を牛耳るであろうポール・ポグバか、それとも下部組織育ちの若きマーカス・ラッシュフォードか。いずれにせよ新10番の輝きが、マンUの次代の訪れを告げてくれるに違いない。
文・本田千尋
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