今夏の移籍市場で、新戦力の獲得が遅々として進んでいないバルサ。7月14日の時点で、新参者は2人に留まっている。ジェラール・デウロフェウとネルソン・セメドだ。
デウロフェウは典型的なウインガー。鋭い仕掛けによるドリブル突破が持ち味だ。バルサのカンテラで育った。13年7月にエバートンにレンタルで出されてから、セビージャ、またエバートン、そしてACミランと欧州の中堅を渡り歩き、武者修行を続けてきた。23歳のアタッカーは、6月に行われたU-21欧州選手権にも参戦。準優勝のスペイン代表でキャプテンマークを巻いている。満を持しての帰還。“MSN”のバックアッパーとして、貴重な存在となりそうだ。
セメドは足元の技術に長けたサイドバック。ベンフィカから獲得した。ダニエウ・アウベスの再来となるか。ベンフィカから加入の23歳は、かつてペップを支えたブラジル代表SBと気質は近いものがある。バルベルデ監督は、右側後方にもビルドアップの軸を確保できるだろう。
「下部組織を大切にすること」と「バルサの哲学」が、新監督就任時のキーワードだったことを考えれば、これら2人の選手の獲得は、その基本路線に忠実な補強と言えるだろう。しかし、特に「バルサの哲学」に重きをおくのであれば、くどいようだが、中盤の構成力の回復は不可欠。アンドレス・イニエスタの後継者をいかに確保するのか。もしくは育てるのか。それは引き続き“バルサの課題”と言えそうだ。
文・本田千尋
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