移籍市場は金銭だけではない バルサ、“スペイン期待の才能”をレアルに獲られる

 大魚を取り逃がした。FCバルセロナが獲得を模索していたダニ・セバージョス。しかし、U-21欧州選手権MVPが新天地に選んだのは、永遠のライバルだった。


 7月14日、レアル・マドリードは公式HPにて、レアル・ベティスとの間でセバージョスの移籍で合意に達したことを発表。もっとも、かねてから20歳の有望株を追っていたのは“エル・ブランコ”の方だったという。現時点でセバージョスのコメントは出ていないが、ジネディーヌ・ジダン監督率いるチームが魅力的に映ったであろうことは想像に難くない。昨季のCL決勝でユベントスを退けたレアルは、決してクリスティアーノ・ロナウドといった個に頼りきっていたわけではなく、中盤の創造力を大事にするチームだった。しかし何より“情熱”の差で、バルサはレアルに及ばなかったようだ。


 こうした移籍市場で物を言うのは、金銭ではなく、熱意である場合も多い。もちろん年棒や移籍金の額も大事だが、最終的には人と人との対話になる。獲得したいという気持ちを、どれだけ選手の心に訴えられるか。選手の心を動かすことができるか。獲得レースに遅れて参戦したことを踏まえても、“エル・クラシコ”でバルサは敗れたと言わざるを得ない。


 今回の“セバージョス戦”が示すように、今夏の移籍市場でバルサの補強は、なかなか上手く進んでいないと言えそうだ。


文・本田千尋

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