昨季のJリーグ王者・鹿島アントラーズと、スペイン・リーガエスパニョーラで昨季4位の古豪・セビージャとの戦いが、まもなく始まる。
17日、日本での初戦に臨んだセビージャはセレッソ大阪に3-1と勝利。リーグ戦首位を走る好調な桜軍団を圧倒的なボールポゼッションで翻弄し、点差以上の実力差をまざまざと見せつけた試合だった。その2日前には、香川真司率いるドイツ・ドルトムントが、浦和レッズに勝利している。
日本のクラブとして、この3戦目は一矢報いたいところ。だが、かたやリーグ中断期間の鹿島、かたやシーズンインしたばかりのセビージャで行われる親善試合で本気の戦いが見られるのか……。
鹿島には今、負けられない理由がある。クラブは昨季J王者に導き、クラブW杯ではあのレアル・マドリード(スペイン)を追い詰めた功績のある石井正忠前監督を、5月末に電撃解任。大岩剛コーチを新監督に昇格させた。ACL敗退含め公式戦5連敗を喫していたチームに大鉈を振るった形だ。
とはいえ、この時点でリーグ戦7位。降格危機に瀕していたわけではない。しかし、Jリーグ発足から20年余で、年間成績2桁は2012年(11位)の一度しかない“常勝軍団”だからこその決定だろう。これに奮起したチームは、その後リーグ戦5勝1分と巻き返し、現在は首位に勝点差1の2位につけている。勢いに乗る今、相手が欧州の強豪だからとて情けない試合など見せられないのだ。
対するセビージャは、今季から監督が交代して新シーズンに向け始動したばかり。新しい戦術や決め事を周知させるのが第一で、試合結果は二の次の時期といえる。だが、この古豪はその一般論には一概に当てはまらない。
エドゥアルド・ベリッソ監督は、かつて日本代表監督就任の噂もささやかれた巨匠マルセロ・ビエルサ氏(現フランス・リール監督)のサッカーを標榜する人物。前指揮官も同様で、いわば弟子から弟子への交代のため大きな戦術の変更はないとの見方が強い。そうなると、レギュラー奪取に向けた選手のアピール合戦がシーズンイン直後から繰り広げられるため、本気のプレーを見せてくれる可能性が高い。もちろん、監督自身も良いイメージでスタートしたいのは間違いないだろう。
注目選手は、まずMFステベン・エヌゾンジだ。190センチの高身長ながら足元の技術が高く、C大阪戦はアンカーの位置から早く正確なパスを何本も通した。ポゼッションの中核を担う選手だ。MFガンソは、かつて母国ブラジルでネイマール以上の逸材といわれていた天才。ブラジル人らしい独特のボールキープと豊かな創造性で、C大阪戦では途中出場ながらトップ下の位置から決定機を何度も生み出し会場を沸かせた。昨季の先発出場は8試合。今季への意気込みの現れか、オフ明けは顔がシャープになって表れ、スペイン紙の記者も驚いたほど。
さらに、マンチェスター・シティから加入し、日本でチームに合流したスペイン代表の大物FWノリート。ベリッソ監督は前日会見で「使わない」と明言していたが、セルタ時代から旧知の2人だけに、挨拶代わりの登場はないとは言い切れない。
両者ともに、気の抜けない一戦。つまり、この両者の戦いが“生ぬるい”試合になどなるはずがないのだ。
この1戦の模様は、AbemaTV(アベマTV)のAbemaSPECIAL 2チャンネルとサッカーチャンネルにて午後5時40分から生放送される。
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