マンU、モウリーニョは2つの顔を使い分けた 名門の復活へ向け最高のスタート

“2つの顔”で勝利した。いよいよプレミアリーグ17/18シーズンが開幕。8月13日、マンチェスター・ユナイテッドはホームにウエスト・ハムを迎えた。ジョゼ・モウリーニョ監督にとっては2年目のオールド・トラッフォード。サー・アレックス・ファーガソンの勇退以来、低迷していた名門を蘇らせるため、まさに勝負の年となる。キックオフの笛が鳴ると、赤い悪魔たちは、序盤からガンガン飛ばして行った。


ウエスト・ハムとの開幕戦で、マンUは“2つの顔”を覗かせた。まず前半に見せたのはポゼッション型。4バックのDFラインを大胆に押し上げて、バレンシアとブリントの左右両サイドバックは高い位置を取る。マティッチは中盤の底でゲームを組み立て、ポグバは8番として攻撃参加し、マタはトップ下で10番として働いた。


守備では激しいプレッシングで敵に息つく間を与えず、ボクシングに例えれば、矢継ぎ早にパンチを浴びせて相手をコーナーに押し込んでいくようなイメージだ。


こうしてウエスト・ハムを嵐の中に放り込むと、33分にはカウンターでラッシュフォードが、自陣から敵陣のゴール前まで独走する。生え抜きFWのラストパスに抜け出したのはルカク。左足ダイレクトで押し込んだ。期待の新戦力が持ち前の決定力を発揮して、1-0で前半を折り返したマンU。最高のスタートを切った。そして後半には、もう1つの顔を見せている。


さらに52分には、セットプレーから2点目。ミキタリヤンが蹴った直接FKを、またもルカクがヘディングでゴールを決める。こうしてエバートンから加入した新戦力の活躍でリードを2点に広げたマンU。後半にはもう1つの顔を覗かせた。


前半とは打って変わって、自陣に引いてカウンターを狙う。ルカクが降りてボールを受け、ラッシュフォードのスピードを活かすなどして、ウエスト・ハムのゴールに迫った。ロングボールも使用するなど、前半のポゼッション型とはまるで正反対の形。後半はモウリーニョらしいカウンター型に徹した。2点のリードがあれば、無闇に前へ打って出る必要はない。こうして後半を効率良く戦うと、87分にマルシャルが3点目を奪い、90分にはポグバが強烈なミドルを叩き込み、ウエスト・ハムを4-0で一蹴。開幕戦を見事な勝利で飾った。


このように前半はポゼッション型、後半はカウンター型と、2つの顔を使い分けたモウリーニョ。そのメリハリの効いた戦い方でウエスト・ハムを寄せ付けず、まさに王者の風格が漂っていた。もちろんプレミアリーグは簡単ではない。それでも名門の復活に向かって、最高のスタートを切ったと言えるだろう。


文・本田千尋

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