「アンビリーバボー!」横浜DeNAラミレス監督も驚きを隠せない、神がかった3日間だった。横浜スタジアムで行われた8月22日からの広島戦で3夜連続のサヨナラ勝ち。1960年に「三原マジック」といわれ優勝した年以来、57年ぶりの快挙だ。巨人に3連敗を喫し、ホームに戻っての大事な3連戦。初戦で決めたのは宮崎敏郎だった。
筒香嘉智、ホセ・ロペス、宮崎が放った3者連続ホームランでのサヨナラ勝ちは球界史上初。この劇的勝利でチームは波に乗った。3連発ばかりが目立つが「ダイブで1点に抑えたことで流れが変わった」とラミレス監督。7回無死満塁で鈴木誠也の三遊間を抜けるようなヒット性の当たりを宮崎が横っ飛びのファインプレーで食い止めたのが大きかった。ラミレス監督は攻守に渡り宮崎を評価しているが、これまでの道のりは平坦なものではなかった。
セガサミー時代、長嶋茂雄氏が激励に訪れた都市対抗野球の1回戦で逆転満塁ホームランを放つなど、非凡なバッティングセンスと勝負強さを見せていた宮崎。しかし、プロ1年目のキャンプで左外腹筋を痛め、開幕1軍はお預け。翌年には1軍デビューを果たすも、ファーストベースカバーの際に送球から目を離すエラーを犯し、たった2日で2軍降格となった。昨年は主に5番で101試合に出場し打率2割9分1厘、ホームラン11本とキャリアハイの成績を残すも、CS敗戦後「筒香と勝負してもらえる5番打者が必要だと思いました」とラミレス監督がコメントするなど、指揮官の信頼を得る戦いは続いていた。
現在は首位打者を走り、チームに欠かせない存在となった宮崎。球場に1番に入ることが多く、念入りな準備で臨み、バッティング、守備練習ともに多くの時間を費やしている。ラミレス監督に「裏でラーメンでも食べて(休んで)おけ」と冗談をいわれるほどの練習量だ。練習はもちろん、左外腹筋や股関節などの身体のケアも充分にしている。宮崎はピストルグリップ(股関節の骨形態異常)があり、で股関節周りが硬い。その影響で打球を追うときに出遅れる傾向にあったというが、股関節周りを柔らかくするために努力を重ね、守備の構えは今の独特な低い姿勢となった。ミスを重ねていた守備も克服し、今年は多くのファインプレーでチームを救っている。
宮崎はバッティングフォームも個性的だ。小川博文打撃コーチにフォームを解説してもらうと、「狭いスタンスで軸足の右足に重心を乗せ、その場で回ることでボールを引きつけ、変化球も見極められている。トップをつくるときの間の状態で、右のラインが真っ直ぐになっていることでポイントが定まり、打つべき球をしっかりとらえられる」という。「今はベストの状態。もともとバットコントロールの技術が非常に高く、フォームや技術に関しては言うことがないくらい」と絶賛。強く、柔軟なリストを武器に、ヒットの約7割がセンターから右方向だが、インコースの甘い球がくれば身体を上手く回転させて引っ張り、ヒットを量産している。筒香、ロペスの連続ホームランの後に、サヨナラホームランを決められる勝負強さがなんといっても魅力だ。つなげることも、決めることもできる宮崎。4番が倒れても宮崎がいる。クリーンナップのラスボスの破壊力に期待が高まるばかりだ。【山口愛愛】
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