プロ野球はセ・リーグで広島、パ・リーグでソフトバンクが優勝し、残り少ないシーズンは、どのチームがクライマックスシリーズ(CS)に進出するかが焦点となっている。現在3位の横浜DeNAは、8月には4位巨人とは最大4ゲーム差あり、チームやファンの期待は2位でのCSハマスタ開催に向き始めていた。虎のしっぽをつかまえたいところだったが、8月18日からの東京ドーム巨人戦で3連敗、9月8日からの甲子園阪神戦3連敗などで失速し、一時は4位に転落。なおも僅差で熾烈な3位争いを繰り広げている。崖っぷちに立たされた横浜DeNAファンは神頼みの必勝態勢で2年連続のCSを目指している。
去年の崖っぷちではこんなことがあった。広島とのCSファイナルステージで2試合完封負けとなり、後がなくなった試合で好投したのが井納翔一だった。背水の陣で臨んだ第3戦は引退宣言をしていた黒田博樹との投げ合い。7回無失点で切り抜け、チームは完封勝利。翌日の先発、今永昇太にバトンをつないだ。前日に井納と今永は「黒田」という和食店で「クエ鍋」を味わっていた。ゲンを担ぎ、まんまと黒田を喰えたわけだ。今年も厳しい戦いが続き、ファンも願掛けやゲン担ぎに力が入る。
「1カ月前からベイスターズのキャップを洗わずにずっとかぶっています」というのは梶谷隆幸ファンの20代女性。「(梶谷の)ヘルメットが夏ごろからどんどん汚れていて、わざと拭いていないと思うんです。願掛けかなと思い、わたしも優勝するまでキャップを洗いません」と笑う。一緒にいた男性の髪型は右サイドだけ狩り上げられていて、数本の細いラインが入っている。これはもしや…「もちろん虎狩りです!」。
40代の男性は「大好きなヒレカツを断っている」という。もともと試合前にゲンを担ぎ、老舗の勝烈庵で勝烈(ヒレカツ)定食を食べることが日課だったそうだが、「最近、勝てなくなってきたので逆にヒレカツ断ちをして願いをかけることにしました。CSで勝って、いつもより高い大勝烈定食を食べると決めているんです」。他に「今年のCS進出は余裕だと思っていたのに…。危なくなってきたので初心に返り、3月にチームが必勝祈願に行った鶴岡八幡宮にもう一度行って祈願してきました」という親子もいた。
ファンだけでなく、横浜DeNAを応援している野球酒場「ホームランバー」ではお客さんと店が一体となりゲン担ぎで盛り上がっていた。8月22日からの広島戦では「赤ヘルを飲み込もう」と、お客さんが真っ赤な「トマトハイ」を注文したことが広がり、多くの人がオーダー。見事にサヨナラ勝ちをし、史上初の三夜連続サヨナラ勝ちの間、「お客さんもスタッフも赤いトマトハイを飲みまくりました」と女性スタッフの声が弾む。去年のCS進出時は鏡割りでお祝いしたというホームランバーは、10月13日にオープン9周年のイベントを予定している。「CSファーストステージが14日からなので、前日になるんです。CS進出を決めて、前夜祭として盛り上がれることを祈っています!」。
ファンたちはあれやこれやと神にもすがる思いで、2年連続のCS 進出を手繰り寄せようとしている。【山口愛愛】
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