「福島県初のFリーガーとして、活躍している姿をたくさん届けたい」府中アスレティックFC・渡邉知晃(後編)【Fリーガーインタビュー】

フットサル日本代表であり、府中アスレティックFC所属の渡邉知晃。混戦のFリーグにおいて、上位進出を目論むチームの浮沈のカギを握る存在だ。そんなチームのキーマンである渡邉知晃がどのようにしてフットサルと出会い、今後どんなフットサル人生をあゆんでいこうとしているのか。彼の知られざる人生を、意外な素顔と共にお届けする。


ーーフットサルでは、サッカーのどんなことが活きていますか?

フットサルというと、派手なドリブルだったり、すごい足技を思い浮かべる方が多いと思いますが、実はそれはフットサルのごく一部でしかありません。僕自身の経験では、思ったところにボールを止める、ボールを正確に蹴る、ボールを正確に運ぶといった、サッカーで磨いた基礎技術がフットサルにすごく活きていますし、大切にしているところでもありますね。


ーー視聴者の方には、渡邉さんのどんなプレーを見てほしいですか?

僕は、どうやったら、簡単にゴールを取れるかというのを常に考えていて、僕の理想のゴールは、ワンタッチでゴールを決めることなんです。


ピヴォというポジションの選手は、前線で身体を張り続けるイメージが強いと思うのですが、僕の場合は、相手の背後に出たり、少しポジションを下げたりしながら、マークが付きづらい状況をつくったりして、いろんな動きのバリエーションをだしながらプレーするので、あまりいないタイプのピヴォかもしれません。そういった駆け引きや動きの質の部分を観てもらえたら嬉しいですね。


ーーボレーシュートの名手といわれていますが、そこも見どころでは?

自分で命名したわけではないんですけどね(笑)。ただ、名古屋オーシャンズに所属していたころ、ボレーシュートで1シーズンに数点取ったことがあって、そこから言われるようになりました。ボレーシュートもワンタッチで正確に蹴る技術のひとつですし、ゴールの枠を正確に捉えることができるからこそ、相手からも警戒されているんだと思います。そういう意味では、セットプレーでのボレーシュートは自分の特徴の一つですね。最近は、相手チームからもかなり警戒されていて、なかなかボレーシュートを打たせてもらえないので、それを逆手にとってゴールに結びつけることを考えています。


ーー渡邉さんが考えるフットサルの魅力をおしえてください。

ボールにたくさん触れる機会が多いですし、ピヴォというポジションならではの魅力でいうと、ゴールチャンスがたくさんあるというのは、プレーしていて純粋に楽しいところですよね。


また、観ている方にとっては、常にゴール前の攻防が行われているようなスポーツなので、攻守の展開が早くて、きっとハラハラするんじゃないかなと思います。


ーーさて、そろそろシューズの話を聞かせて下さい。シューズへのこだわりなどはありますか?

一番大切にしているのは、痛みがないことと、シューズの中で足がズレないことですね。履いていてストレスがないということを一番大切にしています。


このシューズは、プーマのガベットサラというモデルなのですが、試合当日に新品をおろしても履けるくらい、僕の足にフィットしていますね。普通は練習で何度か履いて、自分の足にシューズを馴染ませてから、試合で使うんだと思うんですけど、このシューズは本当にストレスなく履けるんですよね。また、軽いうえにグリップが良く、プレー中にも滑ることが少ないので、本当にオススメです。


ーーこのアッパー素材は、人工皮革ですよね?

はい。人工皮革のものとカンガルー皮のものがあるんですけど、僕は、あまり柔らかすぎるのが好きではないので、あえて人工皮革のものを好んで使っています。


ーーほかにこだわっているところはありますか?

もう一つこだわりがあるとすれば、インソールですかね。Fリーグに出るようになってからずっとバネ・インソールを使っているのですが、このインソールを入れることによって、どんなシューズでも踏んでいる感覚が一緒になるんですよ。


ーー渡邉選手は、前半と後半で違う色のシューズを履いていますよね?

そうなんです。今年の全日本選手権から、前半と後半で必ず色違いのシューズを履くようにしています。


ーーそれは珍しいですね。ゲン担ぎですか?

よく聞かれるんですが、まったくゲン担ぎではないですね。いくら前半で調子が良くても、必ず後半にはシューズを変えています。前半にあまりに調子が悪くて、後半にシューズを変えるという選手はいると思いますが、必ず前半と後半でシューズを変えるのは、僕ぐらいじゃないですかね。せっかくプーマさんから、色違いのシューズをご提供していただいているというのもありますが、シューズの消耗も半減しますし、ちょっとした気分転換にもなっています。結果的に、どちらの色のシューズでも点が取れていますしね。


ーー試合前に必ず行っていることはありますか?

ピッチに入る時に、必ず右足から入るということだけはやっていますが、それ以外は特に無いですね。あまり、縛られたくないんですよ。たとえば、アクシデントがあって、いつもやっていることが出来なくなってしまったりすると、そこに気を遣ってしまうじゃないですか。感情の起伏や精神のブレを作らないようにするためにも、あえてルーティンを作らず、自然体でリラックスした状態で試合に挑むようにしています。


ーー休日の過ごし方は?

これといった趣味がないのが悩みなんですよね。子供の頃、大好きだったサッカー・フットサルが、いま仕事になっているので、趣味が仕事になってしまったという感じなんですよね。趣味と言えるかわかりませんが、オフになったら旅行には必ず行きますね。国内・海外問わず、旅行は好きです。あと、読書ですかね。スポーツ選手の自伝、ミステリー小説、恋愛小説を読みます。


ーー恋愛ですか(笑)?

いろいろ、突っ込まれそうなんですけど、面白い恋愛小説を探して読むというよりは、好きな作家さんの恋愛小説を読むという感じですね。たとえば、東野圭吾さんの恋愛ミステリーだったり、石田衣良さんの恋愛小説だったり。タイトルを見て面白そうだなと思ったら、最初の2、3ページを読んでみて、購入するかどうかを決めていますね。僕が買って読んだ本が映画化されていたりするので、チョイスは悪くないんじゃないかと思っています(笑)。


ーー福島県初のFリーガーですが、それについてどう思いますか?

「初」というのはなんでも嬉しいものですね。いままでは、福島県にはあまりフットサルの情報が届かなかったのですが、今年からAbemaTVでフットサルが放送されるようになったおかげで、フットサルを観てもらえる機会も格段に増えているとおもいます。福島県から出ているFリーガーはあまり多くないので、活躍している姿をたくさん届けられるように頑張りたいです。それが県民の方々の励ましになればいいですね。


ーー今後の目標は?

フットサル選手である以上は、日本代表というのは常に目指すべき場所です。だから常に選ばれていたいという想いがあります。23歳の時から日本代表に呼んでもらっていますが、いままで安泰だと思ったことは一度もありません。ほかにも良い選手はたくさんいますし、常に結果を残し続けられなければ、いつ呼ばれなくなるかもわかりません。だからこそ、チームで結果を出して、代表に呼ばれ続けることと、11月に行われる東アジア選手権で結果を出して、来年2月に行われるアジア選手権で、優勝という形で日本の強さを結果で示すことが目の前の目標ですね。


また、府中アスレティックFCは、2年連続で5位ギリギリでプレーオフに進出しています。今季はプレーオフにいくのは最低限の目標として、少しでも高い順位でプレーオフにいきたいです。そのあとは一発勝負なので、最終的には優勝を目指していきたいですね。


ーー今シーズンのFリーグはどんな印象ですか?

プレイヤー目線でいうと、例えば、名古屋オーシャンズはオフシーズンにかなり選手を補強したこともあり、やはり強いなと思います。ですが、どこか1チームだけが飛びぬけているわけではないと思っています。実際、どこが上位にきてもおかしくない状況ですので、どこか1チームを意識するのではなく、目の前の1試合1試合を大切にして、勝ち点を積み上げていきたいと思っています。府中アスレティックFCは、開幕前の専門家の予想では、あまり高い評価ではなかったので、注目されていない分やりやすいですし、見返してやろうと思っています(笑)。


ーーそんなFリーグでプレーできる選手になるにはどうしたらよいですか?

小さい頃からフットサルに触れていることはとても大切だと思います。フットサルの基本的な動き方や個人戦術を子供の頃から知っていたら、大きな強みになると思います。


特に、フットサルはコートが小さいので、ボールコントロールのわずかなズレや、パスのズレが致命的になりますので、止める・蹴る・運ぶといった基本技術は、フットサルこそ身に付けておくべきです。


いまの日本のフットサル選手は、大人になってからフットサルを始めたという人が多いと思いますが、大人になってからフットサルの技術や判断を叩き込むのではなく、子供の時からフットサルをプレーし、自然と状況判断やボールの運び方などが身についていれば、大きなアドバンテージになります。そういった能力を身に付けてた選手がどんどん増えていけば、Fリーグのレベルも一気にあがっていくんじゃないかとおもいます。


ーー最後に読者にメッセージをおねがいします。

はじめは、たくさんのゴールや派手なプレーをみて楽しんでいただけたらとおもうのですが、観戦する回数が増えていくにつれて、選手がどんな考えでプレーしているのか、どんな工夫をしているのか、といったところがわかってくると思います。そういったトッププレイヤーの細かいところにも注目して観てもらえたらとおもいます。

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