今年157試合を戦った横浜DeNA。ソフトバンクとの戦いに善戦するも、2勝4敗で敗れた日本シリーズの余韻に浸る間もないまま、奄美大島の秋季キャンプで汗を流している。11月16日から開幕するアジアプロ野球チャンピオンシップに出場する選手は侍ジャパンの一員として練習試合に臨み、横須賀に残り練習している選手もいるが、チームは来季に向け動き出している。ラミレス監督は来年のリーグ優勝のために「80勝は必要」と具体的な数字を上げ、南場智子球団オーナーは、それに見合う投資をしていきたいと積極的にバックアップする意向だ。
ラミレス監督が就任して3年目となる来シーズン。昨年は69勝71敗3分け、首位の広島と19.5ゲーム差での3位。球団初のCSに出場したが、広島とのファイナルステージでは1勝しかできずに敗退。今年は73勝65敗5分けで貯金8を作り、首位広島と14.5ゲーム差で3位。レギュラーシーズンで13勝12敗と勝ち越した広島をファイナルステージの2敗(アドバンテージ含む)から4連勝で逆転し、日本シリーズの切符を手にした。史上最大の下克上が日本シリーズでも実現されるかと注目を浴びたが、守備のほころびが露呈するシーンもあり、ソフトバンクに力負けした。
今年のソフトバンクは2位西武に13.5ゲーム差をつけ94勝でのぶっちぎりで優勝。チームの年俸(選手会調べ)を比べてみても、合計42億800万円と堂々の1位。対する横浜DeNAは12球団最下位の15億8622万円と選手層の厚みの違いが感じられる。
若手が急成長して結果を残した証でもあるが、ラミレス監督は来季に向け、チーム内競争をさらに活性化させバックアップメンバーから底上げすると名言している。今年の代打の打率は.156と振るわず、ゲーム中盤以降の接戦で追加点があれば勝てたであろうケースがいくつかあった。今シーズンはセカンドで柴田が頭角を現し、9番ショートを任された倉本はリーグ2位の得点圏打率を残したが、日本シリーズの肝心な場面でのミスが目立ったこともあり、チームは新たな競争を仕掛けている。メジャーリーグのレッズで活躍し、今季は3Aのシラキュースに所属したネフタリ・ソト内野手を獲得。さらには阪神でFA宣言をした大和、楽天戦力外の中川の獲得に向け、調査に乗り出している。
今シーズンは桑原、倉本を筆頭に、選手の調子に関わらずレギュラーを固定したことで成長が見られたが、ほかの選手へのチャンスが少なくなり、チーム内競争の刺激も少なくなったと指揮官は分析し、厳しいレギュラー争いで力をつけることを望んでいる。
投手陣は、ピッチングはもちろんのこと、クイックや守備連携も徹底する方針だ。日本シリーズ第6戦では三塁ランナーの城所が飛び出した際に砂田が一塁に投げ、生還させてしまう場面があった。秋季キャンプでは投手陳も「各塁スロー」「特守」など細かく守備練習を分け、これまで以上に時間を割いている。木塚、篠原コーチのノックにも力が入り、浜口、砂田、進藤などが声を張り上げながら受けている。
そのほかに犠打と盗塁数を増やし、機動力を上げるなど来季80勝に向け、課題を1つひとつクリアしていく。「選手があれだけがんばったのに、勝てば勝つほど『実際は3位だから』と言われたのがストレスだった。下克上もいいけど、やっぱりリーグ優勝からの日本一が見たい」と、福岡で敗れるシーンを見届けた女性ファン。来季はラミレス野球3年目の正直となるか。CS出場、日本シリーズ出場ときたら、目指すところは1つだ。【山口愛愛】
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