2020年の東京オリンピック正式種目に決まったサーフィン。しかし、サーフィンのコンテストの見方やルールに関しては、まだ知らない方が多いのも事実。そこで、JPSA(日本プロサーフィン連盟)のコンテストMCとしてLIVE実況をしているnicoがサーフィンコンテストの魅力や見方を分かりやすく解説。第6回目はチューブライディングついて。
nicoです。前回はマニューバーについてお話し、いかにライディングで大きく綺麗な弧を描くかが高得点の鍵であるということをお話しました。今回は一番難易度が高い醍醐味とも言えるチューブライディングについてお話していきたいと思います。
サーフィン=チューブライディングをイメージする方が多いと思います。サーファーが大きい波が創り出すトンネルをくぐっていくライディングはハワイの映像でよく見る機会が多いですよね。
そのチューブライディングとは波が作り出した筒の中を乗り進むこと。華麗なチューブライディングは非常にリスクが高く、サーフィンの中でも最も難しい技のひとつだと言われています。
くぐる穴の大きさは大小ありますが、その中でサーフボードをコントロールするのは非常に難しいんです。ちょっとしたバランスのズレで転倒してしまい、一番最悪な波に飲まれる形になると言われています。
飲まれると自分が海の底の方に居るのか水面が近いのか分からなくなり、海中に居る時間も長く息も苦しくなるでしょう。
しかしその中をうまくくぐり抜ければ高得点の可能性は高く、何よりスピードを感じて良いライディングを決めれば最高な気持ちになります。まさにハイリスクハイリターン。これがサーフィンにおけるチューブライディングが醍醐味と言われる理由です。
そんなチューブですが、日本ではそのような波が立つことはないと思われがちですが、そんなことはありません。台風や低気圧のうねりによって世界に誇るチューブ波が起きるサーフポイントもあります。
さてチューブをどう乗りこなしたら点数が高いのかというと、ひとつは狙って入れるかどうかです。というのも、波に乗っていると自然とチューブ波ができるケースがあるからです。
ライディングをしていたら偶然入ってしまったのか、それともチューブができるところ(セクション)を狙ってライディングの流れの中で入れるかというこの差はとても大きいです。
これを成功させるには選手自身の実力もそうですが、波を見極める力も必要になってくるので難易度はやはり高いです。もうひとつはいかにチューブの奥で乗ることができるか!? です。よくビデオの中ではサーファーがチューブに隠れて全く見えず、崩れそうになったところで抜けだして滑り抜けるシーンがあるのですが、まさにそのことで、チューブのでき始めの浅いところではなく、崩れ出すところに近い奥の方が高得点になります。
ただし、さらに奥に行くとバランスをとるのは相当難しいです。またスピードコントロールも難しいと言われています。サーファーがチューブに入って「あれ 消えた。奥行き過ぎて転倒したかな?ん? あっ出てきた!」これが理想的な形で、サーフィンの最高峰のチューブライディングです。
では、次回は近年のコンテストの主流になっているエアリアルについて説明していきます。
プロフィール
Abema TVにてJPSAのナビゲーターを務める傍ら、J-WAVEなどでもレギュラー番組を持つ人気MC。本人も生粋のサーファーとして幾多の海外トリップを経験している。
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