サーフィンコンテストで外すことのできないトリック「エアリアル」とは

2020年の東京オリンピック正式種目に決まったサーフィン。しかし、サーフィンのコンテストの見方やルールに関しては、まだ知らない方が多いのも事実。そこで、JPSA(日本プロサーフィン連盟)のコンテストMCとしてLIVE実況をしているnicoがサーフィンコンテストの魅力や見方を分かりやすく解説。第7回目は現在のコンテストシーンの主流であるジャンプをするトリック、エアリアルついて。

nicoです。前回はサーフィンの技で最も難しいと言われているチューブライディングについてお話しました。そして今回は、現在のコンテストシーンでは外すことのできないエアリアルについてお話をしていきたいと思います。


ではエアリアルとは? とても簡単です。波から空中に向けてジャンプするトリック全般のことを指します。このエアリアルもチューブライディングと同様で難易度は高く、花形の技だと言えます。実際に一昔前までは加点対象にはなかったのでエアリアルをコンテストで見ることも少なかったのですが、現在は加点対象となり、成功させることができれば優勝にグッと近づきます。


現在のコンテストシーンでは多くの選手がこのエアリアルを見せてくれるようになりました。


ではどうすればエアリアルで高得点が狙えるのかというと、ひとつはエアーの完成度です。例えエアートリックをしても、高さのない小さなエアーだったり、着水(着地)で転倒してしまえば加点にはなりません。


やはり高いエアーをして(滞空時間の長いものも含め)、なおかつ着水をするか、もしくは着水後もスピードを保ち、また波の上を走れば高得点となります。


また高い難易度のトリックをするかどうかで、加点の振り幅が出ます。マニューバー同様いくつもトリックがあるので、ここでは主なものだけ説明していきます。こちらが理解できたらあとは他のトリックも覚えていくきっかけとなるでしょう。


まずは波の上を進みながら進行方向に逆らわず、そのまま波から飛び出して放物線が描くままに進行方向から着水する、ボードをつかむグラブ等もしないただ抜けるだけのシンプルなエアーですが、これはストレートエアーと言います。


続いてアーリーウープと呼ばれるエアーですが、これは波から抜けたら放物線を描く方向とは逆に体をひねって進行方向から着水するトリックです。どちらも180度回ることは変わりませんが、回る方向が逆になるというわけです。


そして最後にはエアリバース。こちらはアーリーウープとは逆向きに体を捻る技で、ストレートエアーからさらに180度回転させる技です。なので進行方向とは逆の向きで着水することになります。着水したと同時にまた180度回転させて進行方向を戻します。


エアーはこのような3種類をベースに、それをお腹側から飛び出すか、背中側から飛び出すか、ボードをつかむのかどうか、回転方向が縦なのか横なのか等、いくつもの組み合わせがあります。そのため現在進行形で様々なトリックが新しく生まれているのが現状です。


またこれも前回のチューブライディング同様ハイリスクハイリターンな技なので、コンテスト中、後半にリードをしていて差をつけたい時、もしくは逆転に必要な得点差が広がってしまっている時など、試合中切迫している時に見ることが多いです。成功すれば天国、失敗すれば地獄です。


オリンピックを制するにはこのエアリアルを極めることが、ひとつのポイントになるでしょう。次回からはサーフィンのルールで初心者にとって最も難解だとされるプライオリティールールについて説明していきます。

プロフィール

Abema TVにてJPSAのナビゲーターを務める傍ら、J-WAVEなどでもレギュラー番組を持つ人気MC。本人も生粋のサーファーとして幾多の海外トリップを経験している。

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