シュート速度は“クリロナ並み”の時速130km! すみだ・大薗諒のゴールは「衝撃映像」レベル

 フットサルというと、「華麗なテクニック」というイメージが強い。しかし、この男のプレースタイルは華麗とは無縁だ。


 大薗諒――。今シーズンからフウガドールすみだでプレーする22歳の持ち味は、時速130kmにもなるという弾丸シュートだ。

 サッカー界のスーパースター、クリスティアーノ・ロナウドのシュート速度は時速132kmといわれている。つまり、大薗のシュート力は“クリロナ並み”といっても過言ではない。


 すみだは12月10日、アウェイでFリーグ第29節、首位・名古屋オーシャンズとの大一番を迎える。その名古屋との一戦に特別な思いを持っているのが大薗だ。大薗は愛知県の出身で、同朋高校時代はサッカー部に所属していた。その当時から強烈なシュート力は際立っていて、公式戦でゴールまで40mはあろう距離から直接フリーキックを決めた。その動画がYouTubeにアップされ、「衝撃映像」として話題になったこともある。


 そんな大薗の当時の夢は、海外でプロサッカー選手になること。しかし、現実は厳しかった。同朋高校ではエースストライカーとして活躍していたがチームとして結果が残せず高校3年間が終了。在学中にイングランドのクラブでトライアウトを受けたこともあるが、どのチームからも声は掛からず、進路が決まらないまま卒業を迎えた。


 卒業後、大薗は地元・名古屋オーシャンズU-18のセレクションに合格。フットサル選手としてのキャリアをスタートさせた。名古屋U-18に入団すると、すぐに下部組織のサテライトに昇格。着実にFリーガーへと歩みを進めたように思えたが、膝の手術をしたこともあって順風満帆とはいかなかった。


 それでも、着実に成長を遂げ、16年にはU-19日本代表とのトレーニングマッチに4試合出場し、6ゴールを奪ってみせた。17年12月にFリーグ特別指定選手に選ばれると、Fリーグのデビュー戦となったエスポラーダ北海道戦で初出場初ゴールを決めた。


 並行してプレーしていたサテライトでは、東海リーグの全勝優勝に大きく貢献した。個人としては最多96本のシュートを放ち、11ゴールを決めて得点ランク2位、リーグ年間MVPを受賞。また、F地域チャンピオンズリーグ優勝の優勝にも貢献し、初のアマチュア日本一に輝いたのだ。


 今シーズンからは地元・愛知県を離れ、フウガドールすみだに移籍。開幕戦のメンバーに名を連ねると、バサジィ大分からハットトリックという特大級のインパクトを残した。3点の中でも、ゴール右上に突き刺した強烈なフリーキックはAbemaTV選出の開幕戦ベストゴールにも選ばれ、元フットサル日本代表キャプテンの北原亘に「Fリーグで一番シュートが強い選手かもしれない」と言わしめたほどだ。


 しかし、大薗と同じピヴォには日本代表の若きエースの清水和也、Fリーグ得点王経験のあるボラなど、優秀な選手がひしめきあっている。大薗は14人のメンバーに入れず、下部組織でプレーする時期もあった。それでも地道にアピールし続け、再びトップチームでの出場機会を増やしている。


 11月20日、ホームで行われた第25節の大分戦。22歳の誕生日だったその日は、豪快なバースデーゴールを決めて自らを祝った。第27節、Fリーグ王者・シュライカー大阪戦でもゴールを決めて勝利に大きく貢献した。


 そんな大薗は次節、古巣・名古屋オーシャンズを相手にアウェイで大一番を迎える。


 すみだは10月の前回対戦で首位・名古屋から7-3で金星を挙げている。しかしその試合、大薗はメンバー外だった。自らのフットサル人生のスタート地点でもあるオーシャンアリーナで成長した姿を見せつける――。Fリーグナンバーワンシューター・大薗諒の右足は火を吹くか。

文・舞野隼大(futsalEDGE)


 大薗諒を擁するフウガドールすみだは10日の第29節、首位・名古屋オーシャンズと対決。その模様はAbemaTV(アべマTV)のSPORTSチャンネルで13時45分から生中継される。

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