2020年の東京オリンピック正式種目に決まったサーフィン。しかし、サーフィンのコンテストの見方やルールに関しては、まだ知らない方が多いのも事実。そこで、JPSA(日本プロサーフィン連盟)のコンテストMCとしてLIVE実況をしているnicoがサーフィンコンテストの魅力や見方を分かりやすく解説。第9回目は前回に引き続き4マンプライオリティールールをさらに掘り下げていきます。
nicoです。前回はコンテストの4マンプライオリティールールの基本についてお話しました。今回はそのプライオリティールールをさらに掘り下げていきたいと思います。
プライオリティーとは波に乗る優先権のことで、波に乗った順にプライオリティーがつけられていくとはお話しましたが、それだけでは「この場合はどうなるの!?」といった様々なケースが出てきます。そこでよく出てくる疑問・質問について答えていきましょう。
例えばプライオリティーがつく前(どの選手にも優先権が無い状態)に、ほぼ同時に波に乗った場合、このケースでは両方にプライオリティーがつくかといえば、そうではありません。この場合は波に乗り終わってからパドルレースをして、先にテイクオフゾーンに着いた人が優先権を獲得し、先に波になることができます。
もうひとつあるのは、先に良いスコアを出して優先権を得た場合、相手に波を取らせない為にわざと近くで波に乗らなくても良いの? という質問。これは答えを先に言うなら”アリ”です。もちろん本人たちは自分のライディング(演技)の直後には何点スコア出来たかわかっている場合が多いので、こういったところで選手同士の駆け引きや心理戦が生まれる分、ゲーム性も高くなります。
では、実際の試合中でそのような展開になったのだとしたら、優先権がない人はもう勝ち目がないのでしょうか? そんなことはないんです。このプライオリティーというルールは、基本的にひとつの波に対して一人の人間がライディングをするということに基づいているので、コンテスト会場内で別の波が来てプライオリティーがある人とは違うポイントで乗ってしまえば優先権は関係ありません。基本的に会場には複数の波が立っているので、目まぐるしく変わる4人の優先権の順番を考えながら乗る波を選ぶことも勝つための重要な戦略になっていきます。
もし、仮にこの優先権を誤解、勘違いしてプライオリティーを破ってしまうとインターフェアレンスという反則になってしまい、自分の演技の2番目に良い点数が全てカットされてしまいます。また、プライオリティー関係なく相手の邪魔をする行為も反則になり、この場合は2番目に良い点数の半分がカットされてしまいます。このようにかなり重いペナルティーが課せられるので勝敗を大きく左右するポイントの一つであるのは間違いないでしょう。
これを理解すると、サーフィンを見るのが一層楽しくなります。
では、次回からは注目の選手についてお話していきたいと思います。
プロフィール
Abema TVにてJPSAのナビゲーターを務める傍ら、J-WAVEなどでもレギュラー番組を持つ人気MC。本人も生粋のサーファーとして幾多の海外トリップを経験している。
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