「楽しんでいただけましたか?」スーツ姿で舞台に登場したのは横浜DeNAの今永昇太と桑原将志。横浜DeNAベイスターズ公式ドキュメンタリー映像作品「FOR REAL 必ず戻ると誓った、あの舞台へ。」が12月9日に横浜ブルク13で公開され、2選手が初日の舞台挨拶に訪れた。
「1年間戦って、みんなの喜怒哀楽や経験したことが凝縮された映画、DVDになったと思う。改めて見返すと僕も思い出が蘇ってきました」と桑原が振り返ると、拍手で応えた約400人の観客の多くはユニフォーム姿。マフラータオルを掲げ、映画館と思えないハマスタばりの熱気に包まれた。
この作品は昨年に引き続き、金澤佑太氏がカメラマン兼監督を務めた。2月の春季キャンプから、日本シリーズ第6戦で敗れるまでチームに密着し、過去最長となる400時間を超える映像からチームの真実の姿をリアルに映し出している。筒香嘉智のキャプテンらしい行動や意外な選手のおどけたシーンや涙に胸が熱くなる作品だ。
金澤監督がいうように「捕手の3人(戸柱恭孝、嶺井博希、高城俊人)が周りに気を配っている様子が画面の端々に映っている」、「CSで広島との接戦を制した後、ベンチでのハイタッチを全員分そのまま編集せずに映し出しているところは各選手それぞれの感情が良く出ている」など、演出を加えていない選手の素の個性や絆が感じられる。日本シリーズを終えたラミレス監督が「去年、(CSファイナルで)広島に負けて泣いている選手がいた。今年も福岡で負け、目をはらしている選手がいたが去年とは違って、もっとできたはず。やってやるぞ!という顔に見えた」と語っていた。この作品を観ると、日本シリーズまでの道のりを含め、その表情の意味が伝わってくることだろう。
作品を鑑賞した今永は「ここまで撮られていたのかと思い…。ふざけているシーンもあったので来年はちょっと気を付けます」と笑いつつも、筒香の存在について「自分の結果を抜きにしてチームのために、ときには選手1人ひとりのためにいろんな声をかけてくれるので、本当にすごい選手」と、シーズンでもこの映画でもポイントになるシーンを思い返した。桑原が印象に残っているというシーンは「コーヒー(にイタズラされたこと)ですね。来年は飲み物を飲むときも気を付けます」と苦笑い。愛されキャラクターで盛り上げ役の桑原は「選手間問わず、ファンの方にも喜んでもらえるのは僕自身もうれしいこと。お笑い担当はそろそろ卒業したいんですけど…できるとこまでがんばります」会場の笑いを誘っていた。
今シーズン11勝を挙げた今永と、不動の1番バッターでゴールデン・グラブ賞の桑原の活躍は来季も欠かせない。今永は来季の目標に15勝を掲げ、「ほかのチームのエースを見渡しても11勝で終わっている投手はいない。もう一皮むけないと野手、監督、コーチの信頼も得られないと思います。こいつが打たれて負けるならしょうがないと思われるピッチャーにならないと。試合だけではない別の部分の信頼も必要だと思う」と力強く語った。目標とするピッチャーに巨人の菅野を挙げ、「名前だけで相手にプレッシャーをかけられる選手」を目指すという。そのために「完璧を求めすぎないこと。ピッチング内容が悪いときでも何かポジティブ要素を見つける」と常にモチベーションを上げていく策を示した。
桑原の目標は「出塁率4割。盗塁30個」。「打てます、だけじゃダメ。シーズン通して戦うと波があるタイプなのでフォアボールでも貢献できるように」と、積極的なバッティングに加え、選球眼も養っていく方向だ。「自分たちのプレー以外のものはここ(映画)でしか見られないと思う。僕たちの結果がついてこないことには(魅力のある映像作品は)無理なことだと思うので、来年も僕たちは結果にこだわっていこうと思います」。来年の作品のラストはうれし涙で終われるのか。両選手にかかっている。【山口愛愛】
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