スーパーエースが戦犯に
プレミアリーグ第16節マンチェスター・ユナイテッド対マンチェスター・シティ。マンチェスター・ダービーを2-1で制したのは、アウェイのシティだった。
今季11勝2敗2分で勝ち点35。首位でもおかしくないペースで勝ち点を積み上げていたユナイテッドだったが、同じ街のライバルはそれを上回っている。14勝1分、勝ち点43で無敗。
ここでユナイテッドが止めなければ、シティの独走に拍車がかかってしまう。例年以上に大きな注目を集めたダービーでの敗戦は、まさしく痛恨といっていい。
ユナイテッドを率いるジョゼ・モウリーニョ監督にとって計算外だったのが、エースストライカーのロメル・ルカクの不調だった。10月以降わずか2得点と、調子を落としていたのは確かだったが、この日もゴールから見放されてしまっていた。
普段のルカクだったら迷わずにシュートを打つ場面でも、慎重を期して利き足に持ち替えている間にDFに止められるなど、持ち味の豪快さは影をひそめた。DFラインの裏に抜け出してもスピードダウンしてしまい、決定機を生かせなかった。
象徴的だったのが、後半39分。アントニー・マルシャルの折り返しを中央で待ち構えるルカクが左足で至近距離からシュート。ファーにコースがぽっかり空いており、確実に決めるべきシーンだったがGKエデルソンに当ててしまった。
なおかつ、1失点目では相手選手に競り負け、2失点目ではゴール前でクリアミスをするなど、2失点に絡んでしまう。
だが、モウリーニョはルカクを交代させなかった。このポルトガル人監督は、調子が悪くとも信頼している選手なら使い続けるところがある。昨シーズンもマルアン・フェライニを辛抱強く起用し続けて“再生”させた実績もある。それがモウリーニョ流なのだろう。
それでもプレミア優勝を狙うのか?
大事な試合を落としたのは確かだが、明るい材料がないわけではない。
破壊的な攻撃力を誇るシティを相手に、流れの中から失点しなかったことだ。なおかつ、相手のキーマンであるケヴィン・デブライネにマンツーマンマークをつけるなどの奇策を用いず、真っ向勝負で止めたことは評価できる。
ネマニャ・マティッチとアンデル・エレーラの中盤コンビは、CBと連動しながら中盤の危険なスペースを埋め続けた。“赤い悪魔”が見せた組織的守備に、シティが手を焼いていたのも確かだった。
このことは、2月からのUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメントを勝ち抜くことを考えた時に、大きなアドバンテージになるだろう。
現時点でプレミアでの首位・シティとの勝ち点差は11に開き、よほどのことがない限りひっくり返すことは難しいだろう。それでもプレミア優勝にこだわるのか、チャンピオンズリーグやカップ戦にパワーを割くのか――。そろそろ、モウリーニョ監督は決断を下す時期なのかもしれない。
文・内藤秀明
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