レンタルでたらい回しに……
マンチェスター・ユナイテッドのユースで育ったイングランド人MFジェシー・リンガードが、25歳になってようやく輝きを放ち始めている。
2011年にプロ契約を結んだリンガードだったが、“ユナイテッドの一員”になるまでの道のりは長かった。レスター(12-13)、バーミンガム(13-14)、ブライトン(14)、ダービー(15)と4クラブをレンタルで渡り歩いてきた。
なぜリンガードは25歳までくすぶっていたのか。ひと言でいえば「わかりづらかった」からだろう。
トップスピードはあるが、単独でドリブル突破をするようなタイプではない。豊富な運動量と強烈なシュートはあるが、相手をだますしたたかさがない。ウイングなのか、真ん中なのか。どこで起用すればいいのかわかりにくく、放出濃厚という報道が流れることもあったほどだ。背水の陣で臨んだ2017シーズン、ついにリンガードが結果を出し始めた。
突然のゴールラッシュ
転機となったのが11月28日に行われたワトフォード戦だった。試合終了間際の86分、ハーフウェーライン手前でボールを受けると、ドリブルで独走。DF3名をドリブルでかわすと、ペナルティーボックス手前から低い弾道のシュートをゴール隅に決めてみせた。
この得点が本人の自信につながったのかもしれない。
12月は5ゴール1アシストと文句なしの結果を残す。しかも、大事な場面での決定力が高い。エースストライカー、ロメル・ルカクの調子が上がりきらない現状で、リンガードの覚醒は“うれしすぎる誤算”といえる。
例えば、12月2日に行われたアーセナル戦では、相手に攻められ続ける苦しい展開ながら、決勝点および相手の心を折る3点目を決めて、3-1の勝利に貢献。12月26日のバーンリー戦でも2点のビハインドを抱える状態で後半から出場して2ゴール。特に2点目は、バーンリーの堅牢な守備ブロックをユナイテッドが攻略し切れず、敗戦濃厚かと思われたアディショナルタイムに決めた、値千金のゴールだった。
突然変異ともいえるゴールラッシュでジョゼ・モウリーニョ監督の心をつかみつつあるリンガード。大ブレイク中のイングランド人ストライカーから目が離せない。
文・内藤秀明
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