「ハマの浜ちゃん」が躍動! 横浜DeNA浜口遥大は異次元の頼もしさ

 昨年の今永昇太に続き、今年も横浜DeNAはドラフト1位左腕が大活躍を見せた。それが、今永と同じく「大学ナンバー1左腕」の看板を引っさげて入団した神奈川大卒の浜口遥大投手だ。速球とチェンジアップを武器に当初からローテーション入りを期待されていた浜口は、その通りセ・リーグの同年のドラフト1位入団選手の中で唯一開幕一軍入り。プロ2試合目の登板である4月9日の中日戦で初勝利を挙げると、先発ローテーションの一角に定着し、シーズン10勝をマークした。惜しくも新人王は獲得できなかったものの、新人特別賞を受賞している。「ハマの浜ちゃん」と呼ばれファンの心をつかんだ浜口の、特に印象に残る活躍を振り返った。


■3勝無敗!防御率0点台!の交流戦

 ここ数年、セ・パ交流戦をいかに乗り切るかがペナントを制するための重要なポイントと言われている。横浜DeNAにとって、交流戦は決して得意とは言えないどころか、鬼門という印象さえあった。2016年も7勝11敗と負け越し、2015年に至っては12連敗を含め3勝14敗1分けと記録的な大ブレーキ。一時11個あった貯金をすべて使い果たし、首位から最下位という思い出すのも辛い後半戦の大失速につながった。


 そんなセ・パ交流戦を、今年は9勝9敗の5割で乗り切った。これを牽引したのが浜口なのだ。交流戦で浜口は、先発した3試合すべてで勝利。圧巻は防御率で、規定投球回に到達した日本人投手の中で12球団トップ(外国人投手を含めても2位)となる0.93を記録している。


 なお、本拠地横浜スタジアムでの初勝利も6月14日に行われた交流戦の千葉ロッテ戦だった。


■CS引き寄せる巨人8回零封

 CS出場をかけて厳しい戦いが続いていたシーズン終盤。3位の横浜DeNAは9月1日から2.5ゲーム差で4位につけていた巨人との3連戦を迎えた。3連敗すれば順位が入れ替わるカードで横浜DeNAは、初戦、2戦目と続けて落としてしまう。


 迎えた3戦目、先発マウンドに上がった浜口は、マイコラスと0対0の投手戦を繰り広げた。5回までノーヒットに抑えるなど完璧に巨人を封じた浜口は、結局8回をわずか2安打、無失点に抑える圧巻の投球。打線もこれに応え、8回に2番手マシソンを攻め1点をもぎとると、最終回は山崎康晃が締め大きな勝利をものにした。


 実は浜口は巨人戦を苦手としていた。この試合まで2戦2敗で、防御率も8点台。しかもチームも巨人戦7連敗中だった。その巨人を相手に浜口はシーズン最高のピッチングを見せ、1対0勝利をもたらしたのだった。


■日本シリーズ、がけっぷちで無安打無得点目前の好投

 そして最もファンの心に焼き付いているであろう勝利が、日本シリーズ第4戦での快投だろう。思えば、CSファイナルステージで流れを変えたのも浜口だった。広島に初戦を取られ、アドバンテージ含め0勝2敗となった2戦目でCS初登板を果たした浜口の7回2失点の好投が、CS突破につながったと言っていい。


 日本シリーズでの初登板はさらにがけっぷちだった。ソフトバンクに3連敗を喫し、後がなくなった第4戦で先発マウンドに立った浜口はここでも、流れを変えるのに十分な圧倒的なピッチングを見せた。シリーズ4戦目にしてチームとして初めて初回を無失点で抑えると、その後もチェンジアップがソフトバンク打線を翻弄。プロ野球史上初となるポストシーズンでのノーヒットノーランこそならなかったものの、8回1アウトから代打・鶴岡に2塁打を打たれるまでソフトバンクをノーヒットに封じる快投を見せた。


 これで息を吹き返した横浜DeNAは翌5戦目も勝利。6戦目も勝利寸前まで追い詰めた。シリーズは2勝4敗で敗退したが、浜口のピッチングは長く語り継がれるに違いない。【大木信景(HEW)】


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