「ハマの二刀流」爆誕! 横浜DeNAウィーランドはこんなにすごかった

 「8番投手」「ジエンゴ」「ハマの二刀流」…昨年までは聞かれなかったこんな言葉が生まれるきっかけとなった投手、横浜DeNAのジョー・ウィーランド投手。外国人投手としては球団史上初となる10勝を挙げ、チームのCS・日本シリーズ進出に大きく貢献したウィーランドの魅力は、安定したピッチングのみならず野手顔負けのバッティングにもある。 強烈なインパクトを残したウィーランドの今年の活躍を振り返ってみよう。

■投手なのに右方向への1発!

 ウィーランドの打撃を生かすために始まり、すっかりラミレス監督の代名詞にもなった「8番投手、9番倉本」だが、ラミレス監督はシーズン開幕前からすでに「スイングがいい」とその打力を見抜いていた。事実、最初に「8番投手」のオーダーを試したのはウィーランドの来日2戦目である4月14日だが、初登板の4月6日にはヒットを打っていない。意外にも初ヒットは開幕から1カ月が経過した4月28日だった。とはいえ、自らの初勝利を手繰り寄せる強烈な当たりの2点タイムリーとインパクト十分のヒットだったが。


 5月17には、とうとうホームランが生まれた。あっという間にレフトスタンドに飛び込む目の覚めるようなこのホームランで、ウィーランドの打撃力の評価は確かなものになった。相手投手も警戒するようになり、本人も打席で野手並みのモチベーションと粘りを見せるため、5月24日には満塁から押し出し四球を選ぶ一幕もあった。


 8月23日の広島戦で見せたバッティングは、さらに周囲を驚かせた。この日先発だったウィーランドは、ピッチングでは立ち上がりを攻められ2回までに5失点と乱調気味。しかし3回、バッター・ウィーランドが大瀬良の投じた144キロのストレートをなんとライトスタンドに叩き込んだのだ。右バッターが打つライトスタンドへのホームランは、出会い頭ではなく強打者の証と言われる。これで2点を返した横浜DeNAは、その後も小刻みに得点を重ね延長10回の末サヨナラ勝ちを収めた。今年ファンを熱狂させた“3試合連続サヨナラ”の2戦目は、ウィーランドのホームランによるアシストが大きかったのだ。


■勝負どころで初完封

 その後も投打に活躍を見せたウィーランドだが、CS進出に向け阪神、広島との直接対決が続いた9月下旬、ピッチングで強烈にアピールした。甲子園、横浜と続く対阪神5連戦の2戦目で、来日初完封を成し遂げたのだ。


 9月25日に行われたこの試合は、今永の好投で勝利した1戦目と同じく敵地甲子園が舞台。ウィーランドは阪神を散発5安打に封じ、完封でシーズン9勝目を挙げた。ちなみにこの日もきっちり自身でヒット1本を打っている。この勝利で、2014年のモスコーソが記録した球団外国人史上最多勝利に並んだ。


■1発含む3安打4打点でCS決めた!

 2年連続のCS進出を決めた10月1日の広島戦も先発はウィーランドだった。この試合のウィーランドは、ピッチングでは広島打線に捕まってしまうが、それを補って余りある打棒を見せた。初回に自らのタイムリーも含め4点を先制したDeNAだったが、2回に2点を返されると、3回には會澤に3ランを浴び4対5と逆転されてしまった。するとその裏、ウィーランドは逆転3ランをレフトスタンド中段に打ち込んだのだ。しかし5回、広島・田中広輔に1発を浴び同点に。それでも直後の攻撃で、ウィーランドのヒットなどで横浜DeNAが勝ち越し。その後も追加点を重ね、13対7の打撃戦を制した。


 注目すべきは、6回からはリリーフ投手が登板したにもかかわらずウィーランドが5回裏の打席に立った(そしてヒットを打った)こと。5回を投げきり、降板する予定の投手に打席が回ったら代打を出すのが定石。しかしラミレス監督は、ウィーランドを打席に立たせてから交代させた。それで3安打目を打ってしまうウィーランドには驚き以外の言葉が見つからない。この試合は、最終的に勝利したこともあり、ファンの間では愛を込めて「ウィーランド、3安打4打点7失点で勝利の“デタラメな試合”」として語り継がれることとなった。


 この試合も含め広島戦に滅法強いウィーランドは、CSファイナルステージで、通常自分の登板予定のない試合はベンチ入りしないところ代打要員としてベンチ入りするという異例の“代打待機”も果たしている。


 ウィーランドは横浜DeNAとの契約を更新し、来季もプレーすることが決まっている。来季もハマの二刀流として大活躍してくれることは確実。結局見ることができなかった「代打ウィーランド」は、来年までとっておくとしよう。【大木信景(HEW)】


続きを見る