クリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシ。いずれも「世界最高の選手」と称される稀有な存在だ。彼らは世界有数のビッグクラブで、ずっと結果を残してきた。でも、いつも疑問に感じていることがある。
彼らはなぜ、ゴールを奪えるのか?
相手チームが警戒していないわけがない。むしろ、万全の対策を立てているはずだ。でも彼らは決めてしまう。そう「わかっていても止められない」のだ。でもどうして、なぜ、止められないのか……。
ところ変わって、日本最高峰のフットサルリーグを見ていて、毎回、感じることがある。「あいつのシュートは、どうして止められないのか?」と。シュライカー大阪の点取り屋、ヴィニシウスのことだ。
左利きの彼はほとんどの場面で、右サイドを主戦場にプレーしている。そこでパスを受けると、決まって中央へカットインし左足を思い切り振り抜く、と同時にゴールネットを揺らす。まるでリプレイ映像を見ているかのように、何度も何度も、その得意の形からゴールを奪ってきた。
ヴィニシウスのカットインシュートは、わかっていても止められない。
日本にやって来た2011年からコンスタントにゴールを積み重ね、これまで206試合に出場して233ゴールを奪ってきた。1試合平均1点以上……とてつもない数字だ。“キング・オブ・Fリーグ”といわれる森岡薫でさえも、286試合で273ゴールと、1試合平均1点を割っている。ヴィニシウスは、2007年のFリーグ創設から4年の“ハンデ”があるにも関わらず、すでに歴代2位のゴール数を叩き出している、ものすごい選手なのだ。
2015シーズンは33試合で48ゴールを挙げて得点記録を塗り替えると、そのままリーグMVPに初選出された。翌シーズンも43ゴールを挙げて2年連続で得点王となり、チームのリーグ初制覇に貢献。ヴィニシウスはいつしか、彼自身で打ち出してきた結果によって「Fリーグ最高のストライカー」の称号を手にしていた。
そんなヴィニシウスは、2017年12月に「Fリーグ最高の“日本人”ストライカー」となった。
以前から熱望していた日本への帰化が承認されたのだ。彼は昨年末から「クレパウジ・ヴィニシウス」という新たな登録名で、Fリーグのピッチに立っている。来日から7年。流暢な日本語を操り、「これまで支えてくれた方々に感謝の気持ちしかない。日本で恩返ししていきたい」と、その思いを語っている。
今シーズンもここまで、29試合に出場して30得点。もはや彼の力を誰も疑わない。ヴィニシウス。日本人となったFリーグ最高にして最強のストライカーが、今日もまた、ゴールネットを豪快に揺らす――。
文・本田好伸(futsalEDGE)
ヴィニシウスを擁するシュライカー大阪は8日の第33節にアグレミーナ浜松と対決。その模様はAbemaTV(アベマTV)のSPORTSチャンネルで、9時45分から生中継される。
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