「球の筋がまったく違い別格だと正直感じました」。ドラフト5位の桜井周斗(日大三)が思わず本音を漏らす。桜井のキャッチボールの相手は同じ投手として同期のライバルになる、ドラフト1位の東克樹(立命大)だった。ルーキー10人のそれぞれの思いを胸に、1月8日から横浜DeNA新人合同自主トレの幕が開けた。
初日はキャッチボール、ノック、ティーバッティングの基礎練習の後に、コンディショニングチェックとして300メートルのシャトルランニングや3000メートル走のタイムトライアルが行われた。
メイン練習の最後に300メートルのコースを10周するとあって、選手たちは前半から息を上げて険しい顔で走り込む。トップでゴールしたのはドラフト7位の宮本秀明(パナソニック)、2位は「足でアピールしたい」と語っていた神里和毅(日本生命)。「走るのはあまり得意ではないので、遅いと見てもらえれば」と苦笑いを浮かべた東は13分47秒のタイムで7位。2周の周回遅れをし「スミマセン」と頭を下げながら走るドラフト6位の寺田光輝(石川ミリオンスターズ)には、スタンドから「寺田君がんばれ!」と多くの声援が飛んだ。試合さながらの応援に後押しされ、なんとか走り切り、ほろ苦い自主トレデビューとなったが「悔しいので、1日でも早く追いつけるようになります」と前を向いた。
練習を近くで見守っていたラミレス監督が注目したのは、東のキャッチボールのフォーム。「足や下半身の使い方を見ていたが非常にバランスが良いし、だからこそ良いコントロールをしている。とくに左ピッチャーは下半身の使い方でボールのキレが出るので良いものを持っている」と絶賛。東は「身体が開かないように意識して、上半身でバランスを取るイメージだったので、ふだん自分が気にしていない所を褒めていただけたのはありがたいことです」と話し、「やらなきゃいけないという責任感が生まれた」と改めてプロとしての自覚を持った。
実際にルーキー選手の動きを見て「去年の選手よりも非常に良いコンディションでいると思う。何人かの選手は一軍のレベルでしっかりプレイできるレベル」というラミレス監督。「東はローテションに入れるだけの能力があると思うし、10勝できるポテンシャルを持っている。神里は、スピードがあって守備もバットコントロールも良い」と具体的に名を挙げた。「左投手4人で40勝は狙える。東がローテションに入れば優勝に貢献できる」というように日本一のためのピースとして東の存在は欠かせない。
今永昇太、浜口遥大と2年連続ルーキー左腕の活躍で躍進してきただけに東の左手に期待がかかる。「2ケタ勝利を目指し、去年の浜口さんの勝率を超えられるようにがんばっていきたい」。力強い語気に自信が満ち溢れていた。【山口愛愛】
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