横浜DeNA投手陣“番長ファミリー”が自主トレ公開 山崎康、今年は「回またぎも強化したい」

 標高284メートルの白山の山頂。「まだ開幕でクローザーと決まっているわけではないですし、競争があり、アピールをしないといけない。去年、悔しい思いをしたように、あの場面を忘れることなくシーズンを迎えれば、その後に数字がついてくる」。横浜DeNA山崎康晃が語気を強めて語った。昨年19年ぶりに日本シリーズに進出したがソフトバンクには力及ばず、日本一には手が届かなかった。今年こそは頂きに立てるだろうか。

 横浜DeNAの番長ファミリーが1月10日、厚木市内の球場で自主トレを公開した。メンバーは三浦大輔の現役のときから、自主トレを共にしていた山崎康、石田健大、三嶋一輝。三浦は引退後の昨年も「約束をしていた」とサポート役を買い、昨年の自主トレに参加した熊原健人も引き続き参加。「三浦さんの存在が大きかった。いなくてもだらけないように」と気を引き締め、4人で汗を流した。


 この自主トレの名物といえば、朝の山登りとグラウンド練習後に行われる坂ダッシュ。「機械的なトレーニングだけでなく原始的なトレーニングで下半身の粘りが出てくる」という三浦のトレーニング論を引き継いでいる。1年目は「キツかった」と山登りで遅れを取っていた山崎康も快調な足取りで、山登り、長めのキャッチボール、ノック、坂ダッシュと精力的にメニューをこなした。


 坂ダッシュでは「おんぶダッシュ」の新メニューも。山崎康をおぶった三嶋は「重すぎる!」と悲鳴を上げながらも、力強い足どりで坂道を走った。最後の1本は、タイムの数字の合計が奇数なら終了というルールだったが、唯一偶数を出した三嶋は3本も“おかわり”をして、なんとか走り切った。「お互いにアドバイスをしながらやっている」という自主トレは厳しいながらも和気あいあいとした雰囲気。12日まで続く予定だ。


 「ここに来ないと始まらない。ここでみんなとやっているから1年間がんばれる」と石田。開幕投手について「やりたいとは思うが、先発ローテション6人に入っていることが確約されているわけではないので、そこを目指し、去年より良い結果を残すためには何が必要かしっかり考えてやっていきたい」と気を引き締めた。昨年は早々と開幕投手を任命されていたが、今年はラミレス監督が石田、今永昇太、浜口遥大、ウィーランドと4人の候補を上げ、キャンプで競い合い3月中に答えを出すと名言している。石田は2月1日のキャンプインにはブルペンに入る意向だ。


 一方、山崎康は、去年のフル回転の疲れを考え、コーチやトレーナーと相談しながら調整していく方向だ。具体的な目標の数字やブルペン入りの日の宣言は避けたが、日本シリーズで悔しい思いをした山崎康には並々ならぬ覚悟があった。


 日本シリーズの経験を積み、ソフトバンクには「あれだけ抑えが強い壁がある」と認め、「自分の悔しさをいろいろ思って横浜に帰ってきた」と振り返る。日本シリーズで延長に入っても3回を投げ切ったサファテを見て心の火が着いた。「回またぎも強化してやっていかないといけない。回またぎさせてもらえる体力も信頼も身につけて挑戦していきたい」。山崎康の4年目の改革が始まっている。


 去年初めて日本シリーズで回またぎを経験し、「投げさせていただいた経験は力に変えていかないといけない。それを自信にしてもっと強くなって『まだ山崎がくるか!』というピッチャーになりたい」。ハマの守護神が自主トレで磨きをかけ、さらなる進化を遂げる。【山口愛愛】


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