川崎フロンターレの再来か? Fリーグ前年度王者・シュライカー大阪が“下克上”に挑む!

 スポーツ界ではしばしば、劇的なドラマが巻き起こる。2017シーズンのJリーグもそうだった。シーズン終盤に14戦無敗という怒涛の巻き返しを見せた川崎フロンターレが、首位の鹿島アントラーズを最終節で逆転。クラブ創設から21年目にして、“無冠の帝王”が悲願の初タイトルを獲得したのだ。

 そんなドラマが起こるから「スポーツは最後まで何があるかわからない」といわれる。


 例えば、2016年のプロ野球でも、当初ほとんどの人が予想していなかった広島カープが25年ぶりにセ・リーグを制覇した。2015年には、日本代表の岡崎慎司が所属するプレミアリーグのレスターが快進撃を続け、前年度14位のチームが初優勝を飾った。当時、欧米の大手賭け屋であるブックメーカーは、レスターの優勝に5000倍のオッズを設定していた。だからレスターの優勝は「5000年に一度の奇跡」とさえ呼ばれた。


 考えられないような下克上。そういうことが、スポーツ界では起こり得る。日本最高峰のフットサルリーグでは今、前年度優勝チームによる“前代未聞の下克上”が起ころうとしている。


 Fリーグは2016シーズン、創設から10年目にして初めてシュライカー大阪が優勝を飾った。それまで、唯一のプロクラブである名古屋オーシャンズが9連覇してきた記録を止めたのだ。しかも彼らは、名古屋を実力で圧倒的に上回り、そのタイトルを手に入れた。今シーズンも当然、優勝候補の筆頭だった。だが――。


 大阪は今シーズン、精彩を欠いた。クラブを「3年計画」で再生させ、リーグの頂点に導いた木暮賢一郎監督も、4年目の采配は後手に回り、リーグ連覇どころかプレーオフ圏内の5位に入ることさえ危ぶまれた。


 しかしながら、彼らは意地を見せた。プレーオフ進出の最後の1枠を争っていた府中アスレティックFCを残り1試合で逆転して、最後の最後でプレーオフに滑り込んだのだ。「苦しんだ分、最後にいいことが待っていた」と安堵した木暮監督。崩れ掛けていたチームは、最後に再び輝きを放っていた。


 リーグ戦5位からの年間チャンピオン。Fリーグではそんなドラマが起こる可能性が十分にある。実際、大阪は2015シーズンも5位でプレーオフに進みながら、ファイナルラウンドまで勝ち上がって王者・名古屋に挑むと、優勝にあと一歩のところまでたどり着いた。今シーズンは、その再現を狙っていくことになる。


 大阪にとって、そんな劇的なリーグ連覇も想定内だ。シーズン当初、3人だった外国人が2人となり、1人は日本人へと帰化を果たした。Fリーグでは通常、外国人選手がピッチに同時に2人しか立てない。でも今は、アルトゥール、チアゴという攻守の要に加えて、日本人となったクレパウジ・ヴィニシウスという希代のストライカーが同時にピッチに立てる。“最強トリオ”を擁する大阪は、名古屋にとって最大の脅威だろう。


 前年度王者がリーグの“最強王者”に挑む――。これもまたひとつの下克上。プレーオフは今週末に幕を開け、翌週末、プレーオフ決勝の2試合が行われる。Fリーグには最後、どんなドラマが待っているのだろうか。

文・本田好伸(futsalEDGE)


 13日のプレーオフ1回戦の模様はAbemaTV(アベマTV)のSPORTSチャンネルで生中継される。14時15分から「ペスカドーラ町田 vs. シュライカー大阪」の試合を、17時15分からは「湘南ベルマーレ vs. フウガドールすみだ」の試合が放送される。

続きを見る