球界史上初、先発ローテションに左投手4枚が並ぶ左腕カルテットが誕生しようとしている。沖縄県宜野湾市のアトムホームスタジアム宜野湾でキャンプ中の横浜DeNAは、左腕王国の基盤作りに余念がない。
昨年、開幕投手を務めたプロ4年目の石田健大、11勝を挙げた3年目の今永昇太、新人で10勝を挙げた浜口遥大。先発左トリオがそろうにも関わらず、ドラフトで大学No.1左腕の東克樹を一本釣りし、ラミレス監督は10勝できるポテンシャルがあるという東も頭数に入れ「左投手で40勝」を掲げている。
先発に左投手が4枚もそろうこと自体が稀である。近年では2000年の巨人が工藤公康、高橋尚成、ダレル・メイで32勝、2008年にソフトバンク大隣憲司、杉内俊哉、和田毅で29勝を挙げた例があるくらいで、左腕「トリオ」でも貴重だが「カルテット」となると、異例とも言えるローテションとなる。
横浜DeNAの先発左腕は14年に1勝もできず、15年に石田と砂田毅樹で5勝、CSに初進出した16年に石田、今永、砂田で18勝、昨年に石田、今永、浜口で27勝と白星を伸ばし、先発左腕の成績がチーム順位に直結しているといえる。
昨年のパ・リーグのCSではソフトバンクが楽天の左腕、塩見貴洋、辛島航に抑え込まれ2敗スタートとなった。日本シリーズでは第4戦に浜口が8回途中までノーヒットノーランの好投を見せ、横浜DeNAに流れが傾いた。今永も2試合で2ケタ奪三振を奪い、強力なホークス打線を苦しめたことは記憶に新しい。他球団からは左右バランスの偏りを指摘する声もあるが、木塚敦志投手コーチが「左の強打者が多く、左投手が多すぎるということはない」というように、左腕王国を築くことが20年ぶりの優勝への近道となりそうだ。
紅白戦に左腕トリオが登場し、今永、石田ともに3回2失点。今永は新外国人ソトにストレートを2本運ばれたが、「カーブはよかった」と、新たな武器として取り組んでいる速く力強いカーブを磨いている。石田も2本のホームランを許したものの、「右バッターの外、左バッターのインコースに強いストレートの意識」ができていると納得のピッチング。昨年は7回100球をメドにマウンドを降りていたが、オフに下半身をいじめ抜き、今シーズンは「完投する気持ちで」臨む。浜口は3回無失点3四球の結果で、スライダーの精度を課題とした。ラミレス監督は「全体的に3人ともよかった。石田は144キロ出ていてこの時期にしてはかなりよかった。今永も失点がホームランだけなのはよかった」と手ごたえを感じている。
東は未知数だが、16日のフリー打撃に初登板し、ロペス、乙坂に46球を投げ、ヒット性の当たりはロペスの2本のみ。ロペスが、スピンが効いていて伸びがあり、菊池(雄星)より速く感じたというストレートは、まだ伸びしろがありそうだ。
新人の年から石田にアドバイスをもらっていた今永。今永の車に同乗し試合の行き帰りの会話でも多くを学んだ浜口は「今度は自分が東を車に乗せようと思っている」。切磋琢磨し成長し続ける4兄弟が、その左手で優勝を手繰り寄せる。【山口愛愛】
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