横浜DeNA細川、首位打者・宮崎“先生”の指導で覚醒間近 昨年デビュー打席で初アーチ

 高卒2年目で迎えた細川成也はレギュラー争いに名乗りを上げ、充実した春季キャンプを送っている。昨年の10月3日の中日戦、デビュー戦のプロ初打席で初回からバックスクリーンにぶち当てる3ランでド派手なデビューを飾った細川。鮮烈なインパクトの余韻が残る翌日の5回裏。ライトスタンドにいてもレフト方向へ風が流れているのを感じたが、右打席の細川がフルスイングで放った打球は風をものともせずライトスタンドへ一直線。史上初の高卒ルーキープロ初出場からの2試合連発となった。ラミレス監督は「未来のスーパースラッガー」と評価しCSにも出場。日本シリーズでは7打数3安打1打点を残して、あっという間にその名を知らしめた。

 台湾で行われたウィンター・リーグでも、またもやライトスタンンド、バックスクリーンへと豪快なアーチを放ち、周囲を驚かせた。そうかと思えば、ほぼ左手1本で右中間へ持っていきタイムリー3ベースを放つなどパワーを見せつけるだけでなく、技術も追いついてきた。イースタン・リーグではリーグトップの182の三振を喫したが、細川の魅力はなんといっても豪快なフルスイング。試合で結果が出なかった日こそバットを振り続け、豆をつぶしながらも「形重視でしっかり振る」ことを貫いてきた。


 中学生時代にやり投げ(ジャベリックスロー)の全国大会で中学生記録を塗り替えるほどの肩を持ち、明秀学園日立高校時にはベンチプレスで130キロを持ち上げる怪力に。投手との二投流で147キロのスピードボールを投げていたが、今はそのパワーを余すことなくバットへ託している。


 細川の魅力が十分に伝わってくるのが、ロングティーの練習だ。ホームからほど近い3塁側ファウルゾーンから、左翼100メートルのスタンドに向け打ち込むロングティー。15球~20球を一区切りとし、3~4セット程度行うが、クリーンナップでも策越えは半分程度だ。


 細川はやや引っ張り気味に見える低めの弾道でスタンドインを連発していたが、間近で見ていた宮崎敏郎が「ボールの真下にバットを入れて、真っ直ぐ真上に上げるイメージで」と声を掛けると、打球はスタンドをゆうに越え奥のネット上方に突き刺さった。驚くように細川が宮崎を振り返ると「そう、それ! すごいな」とアドバイスを送った本人もビックリ。このセットは18球中13本スタンド奥に叩き込んだ。宮崎は自分の番のときに「今のはダメ」「これね」と手本を見せるように打ち込み、同じ右打ちの細川は首位打者のスイングと打球を眩しそうにじっと見つめた。レギュラーに近づきたい一心で日々、吸収し進化を続けている。


 「ライトは細川の調子がよければ、右投手のときに梶谷、左投手のときに細川のツープラトンも考えている」と期待を寄せるラミレス監督。1998年も盤石のレギュラー陣だったが唯一ライトのみ、右投手時に佐伯貴弘、左投手時に中根仁のツープラトンで臨み、ライバル同士が勝負強いバッティングを見せ優勝へ導いた。右肩の不安で2軍で調整している梶谷隆幸も順調な仕上がりでもちろん容易く譲るわけにはいかない。オープン戦、開幕戦とライトのスタメンはどうなるのだろうか。成長途中の細川の進化の先に優勝が見えてくるはずだ。【山口愛愛】

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